この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
「ソフトボード選びで迷ったら、とりあえずこれ」 そんな風に語られることが多いMFソフトボードの「EPOXY LAM(エポキシ・ラム)」。しかし、2,500本以上のボードを扱ってきた私の視点から見ると、このボードは単なる“入門用”ではありません。
3回の世界チャンピオン、ミック・ファニングが「ソフトボードの楽しさとパフォーマンスの両立」を追求して最初に作り上げた、まさにMFのDNAが詰まったヘリテージ(遺産)モデルです。
今回は、「EPOXY PRO」との構造的な違いや、厚みのあるハードボトムが生み出す独特の乗り味を徹底解剖。なぜこの1本が、初心者からプロのセカンドボードまで、世代やレベルを超えて愛され続けるのか。その「完成されたバランス」の秘密に迫ります。
構造解剖:EPOXY LAM(エポキシ・ラム)の中身はどうなっている?
「ソフトボードの扱いやすさに、本格ボードの推進力を。」
EPOXY LAMは、まさにこのコンセプトを具現化した構造です。
中身はミックが設計した本格的なエポキシサーフボード。そこに、日常の使い勝手と高いパフォーマンスを両立させるための「独自の装甲(レイヤー)」を纏わせています。外はタフなIXPEスキン(デッキ)とHDPEスキン(ボトム)」。 これが、ただのスポンジボードにはない「シャープな走り」と「驚異的なタフさ」を生む核となっています。
この後の図解を見れば一目瞭然ですが、EPOXY LAMの芯材は、一般的なハードボードと同じ「EPSコア」と「バンブーストリンガー」で構成されています。
- 二重のグラスファイバー層: 4オンスのガラス繊維を贅沢に2層重ねることで、ソフトボード特有の「フニャフニャ感」を完全に消し去っています。
- 3.5mm IXPEデッキ: 表面には滑り止め加工済みのEVA素材を配置。ワックス不要で、ハードボード並みの鋭いレスポンスを実現しています。
内部レイヤー構成:PROとの決定的な違いは「ボトム構造」にあり

層「A」から「G」は、図(ボードの上面、断面図)に対応しており、ボードを構成する各層の詳細な仕様を示しています。各層がどのような役割を担っているのか、プロの視点で整理しました。
| 層 | 名称 | 説明・役割 |
|---|---|---|
| A | 100% Recyclable EPS core (100%リサイクル可能なEPSコア) | 高密度で軽量な芯材。環境に配慮しつつ、ボードの浮力と形状を維持します。 |
| B | X2 Layers of 4oz E-Glass | EPSコアの上に積層される、4oz × 2層のファイバーグラス。ハードボード並みの剛性と反発力を生みます。 |
| C | 3.5mm non abrasive IXPE deck skin (3.5mm摩耗防止IXPEデッキスキン) | 柔らかく肌に優しいデッキ素材。ワックスフリーのIXPEスキン。 |
| D | Bamboo Stringer (内部バンブーストリンガー) | EPSコアの中央に縦に通された、竹製の芯材。ボードのしなり(フレックス)と強度を調整します。 |
| E | 4oz Eglass layer (4オンスEガラス層) | ボトム側のグラスファイバー。裏面の強度と滑走時の安定性を支えます。 |
| F | 1.5mm PE bonding sandwich layer | 素材同士を強固に密着させる接着層。剥離(はくり)を防ぐ重要な役割です。 |
| G | 2.5mm HDPE sanded bottom skin | スポンジボードのボトムに比べ硬質なHDPEスキンを配置した耐衝撃性のある滑らかなボトム面。水の抵抗を抑え、ハードボードに近いスピード感を出します。 |
注目は「F」のPE接合と「G」のHDPEボトムスキンです。 EPOXY PROが「軽さ・パフォーマンス」のために塗装で仕上げているのに対し、EPOXY LAMはこの2層を重ねることでボトムの耐衝撃性をアップさせています。 「多少の砂利や、移動中の不意な衝突でも、ボトムに致命的な傷がつきにくい」。
乗り味の特徴:安定感とスピードを両立する「ボトム」の威力
「テイクオフの一歩目が、とにかく速い。」 これがLAMに乗った瞬間に感じる最大のメリットです。スポンジボードのボトムにくらべ硬質なHDPEスキンで覆われているため、水面との摩擦抵抗が驚くほど少なく、パワーのない波でもスルスルと前に進んでくれます。
- 直進安定性の高さ: ボトムに硬さと適度な自重があるため、海面が荒れていても板がバタつかず、狙ったラインを正確にトレースできます。
- 「粘り」のあるドライブ: 竹製ストリンガーとボトムの積層構造により、ターンをした際に板がグッと沈み込み、そこからじわっと戻る「生きた反発」を感じられます。
- EPOXY PROとの違い: 上位モデルのPROに比べると、ボトムがスキンで保護されている分、乗り味はわずかにマイルド。その分、「耐衝撃性による扱いやすさ」と「安定感」はLAMの方が一枚上手です。
EPOXY LAMの「メリット・デメリット」
◎ メリット:ここが買い!
- 圧倒的な耐久性:ボトムのHDPEスキンは衝撃に強く、移動中やビーチでのちょっとした接触でも致命傷になりにくいです。
- ワックス不要の快適さ:デッキのIXPEスキンは程よいグリップ力で、冬の冷たい海でもワックスを塗る手間がありません。
△ デメリット:ここを理解して!
- 重量のわずかな増加:耐久性を高めるためのレイヤー構造上、極限の軽さを求める人には、少し重く感じるかもしれません。
- 「安全性」は控えめ:表面はソフトですが、中身はガチのエポキシボード。一般的なスポンジボードほど「当たっても痛くない」わけではありません。
どんな人に向いている?
「EPOXY LAM」は、一言で言えば「最も失敗が少なく、長く付き合える現実的な名機」。派手さや極限の軽さよりも、実戦でのタフさと安定を求めるサーファーにこそ選んでほしい1本です。
具体的に、私がおすすめするのは、以下のような方々です。
- 初心者を卒業し、確実に「1段上の波」を掴みたい方:「ソフトボードは卒業したいけれど、ハードボードはまだ壊しそうで怖い……」。そんなステップアップ期のサーファーにとって、このLAM構造は最高のパートナーになります。
- 道具のメンテナンスに神経を使いすぎたくない「実戦派」:「海に行ったら1分でも長く波に乗りたい、でも片付けや移動で板に気を遣いすぎるのは嫌だ」。そんなサンデーサーファーに最適です。上位モデルのPROは、ぶつけると塗装がパキッと割れて浸水の恐れがありますが、LAMのHDPEスキンは少々の衝撃なら「擦り傷」で済みます。この「少々ラフに扱っても海に入れるタフさ」は、メンタル面でも大きなメリットになります。
- 手放す時の『出口戦略』まで考えたい、現実派の方:LAM構造のタフさは別格です。安価な使い捨てのソフトボードと違い、しっかりメンテナンスすれば数年後でも中古市場でニーズがあり、次に買い換える際の軍資金になります。『安物買いの銭失い』になりたくない人に、自信を持って推せる1本です。」
逆に、こんな人には向いていません
- 「とにかく当たっても痛くない安全性が最優先」という完全初心者: 中身が本格エポキシなので、ぶつかればハードボード並みに痛いです。その場合は、よりクッション性の高い「SUPER SOFT」を選びましょう。
- 「1gでも軽い、プロ仕様のレスポンスが欲しい」というストイックな上級者: その場合は、ボトムを塗装で仕上げ、極限まで抵抗を削ぎ落とした「EPOXY PRO」を強くおすすめします。
購入前に知っておくべき「安全性」のリアル
「ソフトボード=当たっても痛くない、初心者用」 もしあなたがそう信じているなら、EPOXY LAM(エポキシ・ラム)を手にする前に、その認識を少しだけアップデートする必要があります。
このボードは「安全なスポンジボード」ではなく、「クッション材を纏った本格的なサーフボード」だからです。
1. 「柔らかさ」は表面の3.5mmだけ
構造図を見ればわかる通り、中身はガチガチに固められたEPSコアとグラスファイバー、そして竹製のストリンガーです。表面のIXPEデッキ(3.5mm)は確かに肌触りが良く、擦れには強いですが、衝撃を吸収する「マシュマロのような柔らかさ」はありません。 ぶつかればハードボードと同様に痛いですし、打ち所が悪ければ怪我もします。ここは絶対に誤解してはいけないポイントです。
2. 「重さ」がもたらす破壊力
安価なスクール用ボードに比べ、エポキシ構造のLAMには適度な重量があります。 サーフィンにおいて「重さ」は推進力になりますが、同時に衝突時のエネルギーにもなります。「コントロールを失ったLAMが誰かに流れていく」。その時の危険性は、ほぼハードボードと同じだと考えてください。
3. 「壊れにくい」が「壊れない」ではない
ボトムのHDPEスキンは耐衝撃性に優れていますが、過信は禁物です。 岩場に強く叩きつけたり、フィンに強い衝撃が加われば、内部のエポキシ層までダメージが及びます。「ソフトボードだからどこに置いても大丈夫」という扱いは、この名機の寿命を縮めるだけでなく、剥離(はくり)の原因にもなります。
目利きのアドバイス:その「安心感」をどう使うか
私がお客様にいつも伝えているのは、「LAMの安全性は、自分のためではなく、海での『心の余裕』のためにある」ということです。
万が一、自分のボードを誰かに軽く接触させてしまった時、ハードボードなら相手を深く傷つけてしまう場面でも、LAMのソフトスキンなら致命傷を避けられる可能性がわずかに高まる。その「最悪の事態を少しだけマイルドにする保険」として捉えるのが、正しい大人の選択です。
もし、お子様に持たせるためや、完全な安全性を最優先したいなら、私は迷わず「MF SUPER SOFT」を勧めます。自分のレベルと向き合い、正直に選ぶ。それが上達への一番の近道です。
今すぐ手に入る!MICK FANNING(ミックファニング)EPOXY LAM仕様のソフトボードリスト
Beasti(ビースティ)2025年モデル / EPOXY LAM(エポキシラム)仕様
究極のファンボードをテーマにデザインされたBeasti(ビースティ)モデルのEPOXY LAM仕様。
| 長さ | 幅 | 厚み | ボリューム |
|---|---|---|---|
| 6’0 (182.8cm) | 20 (50.8cm) | 2 5/8 (6.67cm) | 37.01L |
| 6’6 (198.1cm) | 22 (55.88cm) | 2 3/4 (7.0cm) | 46.19L |
| 7’0 (213.3cm) | 22 (55.88cm) | 2 3/4 (7.0cm) | 50.05L |
| 7’6 (228.6cm) | 22 5/8 (57.47cm) | 2 7/8 (7.3cm) | 57.51L |
| 8’0 (242.8cm) | 22 5/8 (57.47cm) | 2 7/8 (7.3cm) | 61.52L |
LITTLE MARLEY(リトルマーレー)2025年モデル / EPOXY LAM(エポキシラム)仕様
LITTLE MARLEYのEPOXY LAM仕様。
短いレールのアウトラインで小さな波のポケットにフィット、加速・スピード性が高くパワーのない波で真価を発揮します。パドリングが容易で、今までにない経験をしたことの無い程、簡単に波をキャッチ出来る。
- ロッカー:ロー
- ボトムコンケーブ:シングル~ダブルコンケーブ
- アウトライン:ワイドダイヤモンドテール
- コンストラクション:EPOXY LAM
| 長さ | 幅 | 厚み | ボリューム |
|---|---|---|---|
| 5’2 (157.4cm) | 21 (53.34cm) | 2 5/16 (5.87cm) | 29.0L |
| 5’4 (162.5cm) | 21 3/8 (54.29cm) | 2 3/8 (6.03cm) | 32.0L |
| 5’6 (167.6cm) | 21 3/4 (55.25cm) | 2 1/2 (6.35cm) | 35.0L |
| 5’8 (172.7cm) | 22 1/8 (56.2cm) | 2 11/16 (6.83cm) | 39.0L |
| 5’10 (177.8cm) | 22 1/2 (57.15cm) | 2 13/16 (7.14cm) | 43.0L |
EVENFLOW(エヴァンフロー)2025年モデル / EPOXY LAM(エポキシラム)仕様
EVENFLOWのEPOXY LAM仕様。
胸下と前足にボリュームがあるので、たくさんの波をキャッチでき、安定感があります。丸みを帯びたテールはターンがしやすく、波のフェイスにうまくホールドします。
- ロッカー:ミディアム
- ボトムコンケーブ:シングル~ダブルコンケーブ
- アウトライン:ラウンドテール
- コンストラクション:EPOXY LAM
| 長さ | 幅 | 厚み | ボリューム |
|---|---|---|---|
| 6’3 (190.5cm) | 21 (53.34cm) | 2 7/8 (7.3cm) | 41.13L |
| 6’6 (198.1cm) | 21 1/2 (54.61cm) | 3 (7.62cm) | 45.70L |
NEUGENIE(ニュージニー)2025年モデル / EPOXY LAM(エポキシラム)仕様
NEUGENIEのEPOXY LAM仕様。
シンプルで無駄のないトライフィンスカッシュテールは、どんなコンディションでも波を掴んで楽しめる。ショートボードの長さフォルムを持ちながら、ファンボードのような感覚を得られます。小さな膝高のショアブレイクからヘッドハイトンネルまで、幅広いサイズで楽しめるモデルです。
- ロッカー:ミディアム
- ボトムコンケーブ:フラット~ダブルコンケーブ
- アウトライン:スカッシュテール
- コンストラクション:EPOXY LAM
| 長さ | 幅 | 厚み | ボリューム |
|---|---|---|---|
| 5’6 (167.6cm) | 20 (50.80cm) | 2 3/8 (6.03cm) | 28.44L |
| 5’8 (172.7cm) | 20 1/8 (51.12cm) | 2 1/2 (6.35cm) | 30.97L |
「今回はEPOXY LAMを紹介しましたが、MFには他にも『EPOXY PRO』や『SUPER SOFT』といった、目的の違う構造が存在します。それらの違いを知りたい方は、こちらの比較記事をご覧ください。」
関連記事はこちら
サーフィンマガジン「73NAVI」 
