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クラッシュ(破損)したサーフボードのセンタフィンボックスのリペアは事前の準備がとても大切です。
準備する材料や工具類から段取り、作業の流れまでしっかり学べる内容となっています。
またリペアに必要な材料や工具類の紹介もしています。
センターフィンボックスのリペアについて
ミッドレングスやロングボードなどのセンターフィンボックスの破損箇所のリペア方法について説明していきます。
フィンボックスのリペアは難易度が高い
これをご覧になっているということは、フィンボックスが破損してセルフリペアに挑戦しようしていることと想像します。
先にお伝えしておきますが「リペア経験が少ない方」「リペアが初めて」「ほとんどリペアしたことない」という方は、フィンボックスのリペアは難易度が高いので、やめておいた方が良いです。
フィンボックスは修理代も高くなますが、サーフショップやリペア専門店へお任せしてください。
無理してセルフリペアしたもののうまく修理できなかった場合、そこで準備した道具や材料代はもちろんのこと、失敗してグチャグチャにしたボードをショップにお願いすると、リペアのやり直しなど余計に手間が増えてしまいますので、その分リペア代が高くなってしまったり、仕上がりにも影響が出る可能性もあります。
良いことなんて一つもありません。
プロの方などが修理しているのを見ると簡単そうに見えるかもしれません。
しかし、実際はやってみると、とても大変で、とても難しいです。
さらにフィンボックスのリペアはトリマーまたはルーターなどの電動工具も必要となります。工具を揃えるだけでもそれなりに予算も必要です。
どうしても…というのであれば、まずは小さな傷から練習を始め、少しずつ大きな傷や深い傷など経験を重ねてから、トライされることをお勧めします。
とはいえ、せっかくなので、どのようにリペアするのか興味ある方は、今後の参考にご覧ください。
準備に時間をかける!
フィンボックスなど難易度の高いリペアは、作業工程も多く樹脂の硬化時間などの関係上、季節(時期)や工程によってはスピーディな作業も求められます。
とにかく事前準備が大切です。
工具の準備、材料は樹脂やクロスなど余裕めで準備する、そして段取り、作業のイメージトレーニングをしてから行うとことをお勧めします。
破損したロングボードのセンターフィンボックスの交換作業
今回はシングルフィンタイプのロングボードのセンターフィンボックスが破損したとのことでリペアしていきます。
上の写真の画像がリペアしたものです。
なお、リペアするサーフボードでは一般的なPUのボードですので、エポキシなどその他の素材のリペア方法とは材料やリペア方法が一部異なる点もありますのでご注意ください。
準備するもの
【材料】
- ガラスクロス:6oz
- ガラスクロス:4oz
- レジン(ノンパラフィンレジン)、ホットコート(インパラフィンレジン)
※レジン:ポリエステル樹脂 - 硬化剤(パーメリック:レジン硬化剤)
FRP 補修 修理 自作 車 船 汎用ポリエステルインパラ樹脂250g・ノンパラ樹脂250g硬化剤付き
- アセトン(刷毛などに付いたレジンを落とす為)
- キューセルパウダー
- ラッカー:ホワイト、イエロー(サーフボードの色合わせに準備)
- フィンボックス
- ウレタンフォーム
サーフボード用のブランクスではありませんがPUボードのリペア用(代用品)としてなら問題ない商品と思われます
硬質発泡ウレタンフォームS切板50mm,480W×240L
フェザーフィールド
【工具類】
- 紙コップ
- ヘラ・刷毛、割り箸等
- トリマーまたはルーター
- 研磨用パッド、サンダーなど
- やすり:ここでは空研ぎ用#120 水研ぎ用#320 #600 #1000 #2000を使用
- コンパウンド
- マスキングテープ
- ハサミ、カッター、フォームをカットするためのノコギリ
- クリアボード(治具の代用として使用)
- インパクトまたはドリル(穴あけできる工具)
- ウェス
- 定規、当て木
破損状態を把握する
まずはセンターフィンボックスの破損部をご覧ください。
フィンボックスが破損しているだけでなく、樹脂まで捲れ上がるように浮いています。
波打ち際まで乗ってしまい波にボードが巻かれ砂浜にフィンから叩きつけられてしまったことが破損の原因とのこと。
波打ち際はボード破損や怪我に遭いやすいので気をつけましょう。
かなり重症です。
フィンボックスだけならボック交換で済みますが、ここまでの状態ですとフォーム移植が必要となります。
ちなみにこの黄色のマスキングテープとマジックで書かれた×マークはフィンボックスの元の位置がわかるように標をつけています。
トリマーを使ってフォームをくり抜いていきます。
当て木を使うと真っ直ぐに溝を掘れます。
なお、中央のストリンガーを削らないように注意しながらくり抜いていきます。
フォーム剥がれの深いところはデッキ側のクロスまで到達しており、破損時の衝撃が凄さわかります。
さらに中は砂利が混入し海水で濡れています。ただ濡れてはいますが、すぐにボードを引き上げたとのことで、被害は最小限に抑えられているようです。
砂利を取り除き、ウェス等で海水をしっかり拭き取り乾燥させます。
万が一サーフィン中にクラッシュなどでサーフボードが破損した場合は、たとえ小さな傷でも速やかにサーフィンを止め海から上がるということだけは徹底してください。これだけでボードの被害を最小限に抑えることにつながります。
フォームの移植
さらにトリマーと空研ぎ用やすり#120で、フォームをくり抜き綺麗に成形します。
移植するフォームの型取りをします。
くり抜いた部分にマスキングテープを貼り、カッターナイフでカットし型取りをすると正確で簡単。
移植するフォームの上に貼り、マスキングテープの型に合わせカッターナイフまたはコンパクトなノコギリ等で大まかにカットします。最後に空研ぎ用やすり#120で削りながらフォームが入るように微調整します。
次はウレタンフォームを移植していきます。
本体との接着はレジンで行います。
レジンは透明なので、ラッカーのホワイトを混ぜて白色のレジンにします。
これにキューセルパウダを少し入れ(少しだけ粘りが出るくらい)、しっかり混ぜます。
さらに硬化剤を入れ混ぜまたら接着させる面にしっかり塗ってフォームをはめ込みます。
硬化剤の添加量は重量比で0.6〜2%、標準は1%を目安にして気温や作業環境に応じて上下調整します。
気温が高いと硬化しやすく、硬化も早いので、硬化剤の比率を下げ、冬場の気温の低い日は比率を多めにします。詳しくはPU素材のサーフボードリペア「ポリエステル樹脂と硬化剤の比率」をご覧ください。
PU素材のサーフボードリペア「ポリエステル樹脂と硬化剤の比率」しっかりと押さえて硬化するのを待ちます。1日以上はこの状態で固定し硬化させておきます。
固定していたテープを剥がし、余分なフォームをノコギリ等でカットします。
カットの際は切りすぎないように少し余裕を残してカットします。
サンダーで大まかに削り、最後は手で平らに仕上げていきます。
この時点で、隙間の溝等に樹脂がしっかり入りきっていなければ、溝の隙間に樹脂をいれ固めてください。
この時もレジンにはラッカーを混ぜ白色にます。
キューセルは入れないでOK!(溝に入り込みやすいため)。
一日置き、はみ出した樹脂を削って綺麗にします。
ガラスクロス6oz(クロスはボードの仕様に合わせてください)で巻いていきます。
クロスを巻く箇所にマスキングし、マスキングに掛かるくらい、もしくはひとまわり大きめにガラスクロスをカットします。なおこのボードは経年の黄ばみが出てクリーム色ぽいボードに見えますが元々、うっすらクリームがかったホワイトをレジンに混ぜてラミネートしていると思われます。
経年変化も考慮しラッカーで色合わせしたレジンを準備します。硬化剤をいれ混ぜてから、ヘラまたは刷毛でレジンを塗っていきます。
1回目の樹脂が硬化したら、2回目は上からホットコートを塗り1日以上硬化させます。空研ぎ用#120でサンディングし綺麗に面を整えます。
これでフォーム移植までは完了です。
センターフィンボックスの取り付け
ここからフィンボックスの取り付け作業に入ります。
トリマーまたはルーターを使いフィンボックスを嵌め込む穴をあけるのですが、この穴開けは本来、専用の治具を使いますが、治具がないのでクリアボードで簡易治具をあらかじめ作っておいたのでこちらを使って穴あけをします。
治具がなくてもできないことはありませんが、ミスを防ぎ綺麗に仕上げるためにも準備しておくことをお勧めします。
最初に「黄色のマスキングテープと×マークでフィンボックスの元の位置がわかるように標をつけていました」が、ここの位置決めで役に立ちます。
クリアボードで作った簡易ジグと合わせ「×」標をつけてあるので、この位置を合わせ、マスキンングテープで貼り付けます。(ちなみにセンターフィンボックスはストリンガーに合わせて設置されているので位置決めの標がなくても大きくずれることはないと思いますが、より正確に元の位置に設置できるのでやっておいた方が良いでしょう)。
治具に沿ってトリマーまたはルーターで穴を空けて、くり抜いていきます。なおこの治具が刃に当たると、一緒に治具ごと削れてしまいガイドの役目を果たしてくれませんので刃が当たらないように刃の高さ調整が必要。
また刃が当たらなくても回転している金属部分に触れ多少は削れることになるので、その点を考慮しながらスピーディに行う必要はあります。
参考にしつつ、あとはあなたのアイデア次第。
センターフィンボックスの接着面をやすりで荒らし樹脂を食いつきやすくします。
フォーム移植と同じよう穴に樹脂を流し混みしっかり塗り広げセンターフィンボックスを嵌め込み固定します。
写真を撮り忘れてしまいましたが、フィンの角度が真っ直ぐになるようにフィンを付けた状態でフィンボックスをセットしマスキングテープで動かないように硬化するまでボードと固定しておきます。
1日以上待ちます。
飛び出したフィンカップの樹脂ごと削って面を合わせ綺麗に成形します。
再びガラスクロス6ozで巻いていきます。
同様にクロスを巻く箇所にマスキングし、このサイズよりひとまわり大きめにガラスクロスをカットします。
なお、このときガラスクロスの下のセンターフィンボックスにはマスキングして、樹脂が入り込まないようにします。
ヘラまたは刷毛でレジンを塗っていきます。
1回目。樹脂が硬化したら…
2回目。上からホットコートをハケ塗りし、1日以上硬化させます。
空研ぎ用#120でサンディングし綺麗に面を整えます。
表面を綺麗に仕上げるため、再びマスキングをしてホットコートを塗り1日以上硬化させます。
水研ぎ用やすり#320で表面を綺麗に整え #600 #1000 #2000の順番で表面の傷を研きます。
このボードはバフ仕上げのボードですので、さらにコンパウンドで研き表面を綺麗に仕上げます。
以上で完成。
若干サンディングなどで黄ばみがあったところが色が抜けてしまい、見た目の色ムラはできてしまいましたが、これは時間の経過とともに色むらの差が少なくなり分かりにくくなるでしょう。
フィンを取り付けても真っ直ぐにしっかり固定できています。